60才代の女性患者Aさんを治療中、
「先生、ジャンボタニシ見たことあります?」
「いいえ、ないですけど・・・・外来種なんでしょう?」
「そうなんですけど、田んぼの畦(あぜ)にピンク色の気持ち悪い・・・ウニみたいな卵を産むんです・・・・これを、見つけたら用水路に捨てると死ぬんですけど・・・・それをしなかった田んぼは、ジャンボタニシに苗を食べられて・・・・全く稲が出来なかった田んぼが出る程です。」
「それは、大変だ!」
ということで、調べてみました。2カ所からの引用が下記になります。
『スクミリンゴガイ(学名:Pomacea canaliculata)は、南米原産の淡水に生息する大型の巻貝(成貝の大きさは殻高3~8cm)で、日本には食用として、1981年に東南アジア方面から輸入されてきました。
(スクミリンゴガイの生態に詳しい農学博士の井上先生)
全国に500カ所もの養殖場ができるなど、当初は新たな水産物として期待されていましたが、味が日本人好みではなかったことや、広東住血線虫の感染源にもなることから、商品価値が上がることはなく、養殖場から逃げ出したり、廃棄されて野生化した貝が繁殖し、田植え直後の稲を食い荒らすようになりました。
1984年には植物防疫法に基づき有害動物に指定されて輸入が禁止になり、現在は環境省と農林水産省が作成する「生態系被害防止外来種リスト」で、対策の必要性が高い「重点対策外来種」に選定されています。』
『◇参考情報 環境省のチラシ
1日に体重の半分を食す大食漢! その繁殖力も脅威
スクミリンゴガイの食性は、雑食で植物質から動物質まで幅広くエサにし、特に柔らかい物を好みます。食欲は、とても旺盛で、1日に自分の体重の半分ほどの量を摂取する大食漢で、大きな貝ほど農作物への被害は甚大です。
地域ぐるみで生息密度を減らす活動を
水稲での被害がクローズアップされていますが、稲がスクミリンゴガイの大好物かといえば、そういう訳ではありません。田植え直後の水田には、生育初期の稲しかないので、食べられてしまうのが実情です。
育苗日数にもよりますが、田植え直後から2~3週間が注意の必要な期間で、その後は生長して堅くしっかりとした稲になるので、スクミリンゴガイに食べられることはありません
スクミリンゴガイの分布地域では、この貝を水田雑草の除草に用いる農家が増えています。この貝の除草効果はかなり高く、ほとんどすべての雑草を食べてしまうので、スクミがいれば除草剤を全く用いなくてよいという農家もあります。
すでにスクミが分布している場所で、除草のためにこの貝を活用することには、除草剤の削減という大きなメリットがあります。しかし、何といってもこの貝は、稲やレンコンなど農作物を食い荒らす有害動物です。未発生地の水田に貝を放すと、それらの貝が近くの水田や水路に広がることは必至ですし、水管理がうまく行かない水田では稲に被害を及ぼす可能性があります。また、貝防除のための農薬散布による環境負荷や希少な水生生物への影響も計り知れないものがあります。こういった影響は貝を根絶しない限り続きますが、現状では広まってしまった貝を根絶することはほぼ不可能です。新たな場所に貝を放すことは、絶対に止めて下さい。』
1981年から3年間食用として養殖されたジャンボタニシは人気がなく失敗。しかし、全国に500もの養殖場があり、そこからの拡散で暖かい地域に広がっているようです。今後温暖化が進むと全国に広がる可能性はあります。天敵はカルガモ、スッポン、鯉だそうです。いずれにしても、大人しい在来種が動植物問わず駆逐されている流れは増しているようです・・・・・